恋のメンテナンスは必要ですか?

第二十八話 「佐藤三樹」


 仕事を終え、着替えを済ませて階段を降りる。
 他のスタッフもそれぞれ着替えを済ませ、みんなで駐車場にいた。

「彩ちゃん」
 ぼーっと駐車場で立っていると後ろから三樹に肩を叩かれた。
「三樹さん、お疲れ様です」
 
 三樹は彩の顔色を見て「なんかあった?」と声をかける。

「杏菜ちゃんが辞めるって聞きまして……」
「あー、ね。」
「三樹さん知ってました?」
 
 彩が聞くと「リーダーだからね」と三樹は申し訳なさそうに笑う。
 
「彩ちゃんは三上さんと色々あったから、気持ち的には楽になるんじゃない?」
「……どうですかね。ちょっと寂しい気もします」

 彩は遠くでスタッフと話している杏菜を見つめた。
 ニコニコと愛らしく笑っている彼女は彩にとって大変な子でもあったけれど。
 三樹は彩の杏菜を見つめる横顔を見て微笑む。

「彩ちゃんって損するけど愛される性格だよね〜」
「え、今の話のどこら辺でそう思いました?」
「ふふふ。」

 三樹の誤魔化し笑いに首を傾げた。
 納得のいっていない彩へ話題を変えるように、三樹は「そういえば」と話題を切り出す。

「彩ちゃんは今日どうするの?」
「今日ですか?」
「そうそう。今日クリスマスでしょー?うちは子供も大きいからとくに何もしないんだよね。彩ちゃん暇なら遊ばない?」

 三樹からの誘いに今日がクリスマスだったことを忘れていたと気づく。
 スマホのスケジュールを確認しても何も予定はない。
「いいですよ」と彩は三樹に快諾した。

「やったー」
 三樹は両手を軽く上げて喜ぶ。
 そのまま振り返り「星野くん」となぜか樹を呼んだ。

「彩ちゃん、今日空いてるって。遊び行くでしょ?」
「はい?」
「え?」

 三樹はニコニコと笑いながら「私と遊ぼうとは言ってないよ?」と彩の逃げ道を塞いだ。


 *

 
 三樹は車を自宅に走らせながら自分の行動について考える。

「余計なことしたかなー」
 頭に二人の驚いた顔がよぎる。
 
 余計なこと、だとは思う。
 それでもこのくらいしないとあの二人の距離は縮まらないような気がしたのだ。
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