恋のメンテナンスは必要ですか?

第二十九話 「クリスマスデート」


 同僚たちが帰り、二人だけになった樹と彩は落ち着かない様子で視線を交わす。

「……行くか」
「う……うん」
 
 先輩にセッティングされたクリスマスデート、気まずい雰囲気で二人は駐車場を歩いた。
 
 樹の車に乗り込むまで、二人の距離は開いたまま。
 運転席と助手席に乗り込むことで強制的に近くなった距離に緊張が込み上げる。

「な、なんか食べに行く?」
 
 視線を前に向けたまま、彩は樹に聞く。
 樹も彩を見ることはなく硬く低い声で言った。

「クリスマス当日だしどこも混んでるだろ……ゲーセンは?」
 適当に思いつき言った言葉だったが、樹の『ゲーセン』の一言に彩は目を輝かせた。
 
「いいね。久しぶりにいきたい!」
「決まりだな」

 樹はシフトレバーを握り、車を出発させる。
 話始めてしまえばいつも通り。二人は楽しそうに「なんのゲームやるんだ?」「やっぱりレースゲームでしょ」と盛り上がった。


 *

 暗い室内を照らすダウンライト。
 大音量で騒(ざわ)めくゲームミュージックと機械音。
 ゲームセンターだけでなく、ローラースケート・ロデオ・バッティングなどアミューズメントという名のものを全てそこで楽しむことのできる施設で二人はレーシングゲームにのめり込んだ。

「ほんっとお前、免許持ってねぇのになんで強いんだよ!」
「才能?」
「はぁ!?ふざけんな!」

 運転席を模した椅子に座り、画面に映る【負け】の文字に樹は悔しそうに歯を食いしばる。

「ぐぬぬぬ……」
「はいはい。次は何やる?」
 
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