『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
顔をしかめながら長くなった髪を掻き上げたところで、何処からか声が聞こえてきた。

「……マジか」

「ちょっと待って。あれ軍釟?」

「超イケメンなんですけどー!」

「いや、イケメンっていうか……別人じゃない?」

 何だ。

 うるさい。

 振り返って、さらに腹が立った。

 いつの間に集まったのか、冥府庁のてっぺんを囲むように各部門長たちが揃っている。

 通常死亡案件部門長――轟由羅(とどろき)

 輪廻転生管理部門長――高尚(こうしょう)

 召喚管理部門長――東仙(とうせん)

 天界部門長――東陵(とうりょう)

 地獄刑執行部門長――燦錕(さんこん)

 魂籍管理部門長――紫龍(しりゅう)

 蘇生・返還審査部門長――天啓(てんけい)

 現世監察部門長――間遁(まとん)

 魔界連絡調整部門長――砂紋慈(さもんじ)

 その他特殊案件部門長――寒山(かんさん)

 そして、本来ならここに死神部門長の窓路がいるはずだった。

「何で全員いるんだよ!」

 思わず怒鳴ると、轟由羅が俺をまじまじと見た。

「いや、それよりお前……本当に軍釟よね?」

「他に誰に見える!」

「だって普段と違いすぎるでしょ」

「見るな!」

 東仙も珍しく言葉を失い、紫龍に至っては何も言わず、ただじっと俺を観察している。

「あとで全員忘れろよ」

< 20 / 54 >

この作品をシェア

pagetop