『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
咲良の表情が変わる。
「消失?」
「ああ。各世界から回収された魂が冥府へ送られるまでの間、ほんの僅かだが、本来の経路から力だけを抜かれていた」
俺は立体映像へ身を乗り出した。
「魂そのものじゃなく?」
「魂本体じゃない。移送時に発生する余剰エネルギー、それから転生や再配置の際に戻される循環魔力だ」
「そんなの、毎日膨大な量だろ」
「だから分かりにくかった」
窓路が数ヶ所を指すと、小さな赤い点がいくつも浮かび上がった。
「一ヶ所あたりは誤差の範囲だ。だが、同じような消失が長期間、複数箇所で続いていた」
「どれくらい前から?」
「正確にはまだ追えていない。ただ、俺が異常と判断したのはかなり前だ」
「なら何で報告しなかった!」
咲良の声が鋭くなる。
窓路は動じなかった。
「報告すれば、止められる可能性があった」
「止められて何が悪い」
俺が聞くと、窓路は俺を見る。
「犯人が尻尾を切る」
「……なるほど」
高尚が頷いた。
「経路の異常だけ修正すれば、誰が使っていたのか分からなくなる」
「そうだ」
窓路はさらに映像を切り替えた。
「そこで俺は、流れの一部を意図的に止めた」
俺は顔を上げる。
「……待て」
嫌な予感がした。
「お前、昨日のボイコットって」
「罠だ」
「やっぱりかよ!」
窓路の説明によれば、流れを少しずつ変え、最終的に死神部門の通常運用を一斉停止させることで、それまで魂の循環へ依存していた何者かが必ず動くと考えたらしい。
理屈としては分かる。
犯人を炙り出すなら、供給を止めればいい。
ただし。
「お前、門ぶっ壊れるって分かってた?」
「そこまでは予想していなかった」
会議室が静まった。
俺はゆっくり窓路を見る。
「……何?」
「冥府庁の制御系統が、あそこまで魂の定常流入へ依存しているとは思っていなかった」
「つまり?」
「俺の想定以上に崩れた」
「消失?」
「ああ。各世界から回収された魂が冥府へ送られるまでの間、ほんの僅かだが、本来の経路から力だけを抜かれていた」
俺は立体映像へ身を乗り出した。
「魂そのものじゃなく?」
「魂本体じゃない。移送時に発生する余剰エネルギー、それから転生や再配置の際に戻される循環魔力だ」
「そんなの、毎日膨大な量だろ」
「だから分かりにくかった」
窓路が数ヶ所を指すと、小さな赤い点がいくつも浮かび上がった。
「一ヶ所あたりは誤差の範囲だ。だが、同じような消失が長期間、複数箇所で続いていた」
「どれくらい前から?」
「正確にはまだ追えていない。ただ、俺が異常と判断したのはかなり前だ」
「なら何で報告しなかった!」
咲良の声が鋭くなる。
窓路は動じなかった。
「報告すれば、止められる可能性があった」
「止められて何が悪い」
俺が聞くと、窓路は俺を見る。
「犯人が尻尾を切る」
「……なるほど」
高尚が頷いた。
「経路の異常だけ修正すれば、誰が使っていたのか分からなくなる」
「そうだ」
窓路はさらに映像を切り替えた。
「そこで俺は、流れの一部を意図的に止めた」
俺は顔を上げる。
「……待て」
嫌な予感がした。
「お前、昨日のボイコットって」
「罠だ」
「やっぱりかよ!」
窓路の説明によれば、流れを少しずつ変え、最終的に死神部門の通常運用を一斉停止させることで、それまで魂の循環へ依存していた何者かが必ず動くと考えたらしい。
理屈としては分かる。
犯人を炙り出すなら、供給を止めればいい。
ただし。
「お前、門ぶっ壊れるって分かってた?」
「そこまでは予想していなかった」
会議室が静まった。
俺はゆっくり窓路を見る。
「……何?」
「冥府庁の制御系統が、あそこまで魂の定常流入へ依存しているとは思っていなかった」
「つまり?」
「俺の想定以上に崩れた」