『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
「元凶その二じゃねぇかぁぁぁ!」

 思わず立ち上がった。

 窓路は珍しく、少しだけ視線を逸らす。

「そこは認める」

「認めた!」

 轟由羅まで机を叩いた。

「私たち昨日どれだけ走り回ったと思ってるのよ!」

「悪かった」

「謝るなら先に説明しなさいよ!」

「説明したら罠にならない」

「そういうとこよ!」

 珍しく轟由羅と意見が合った。

 咲良は眉間を押さえながら深く息を吐く。

「……つまり、魂の流れからエネルギーを抜いていた者がいる。その正体を突き止めるために、窓路は死神部門全体を止めた。でも、その結果として冥府庁の制御系統まで連鎖的に崩れた」

「そういうことだ」

「で」

 俺は腕を組んだ。

「誰なんだよ」

「ほぼ特定している」

「早く言え!」

 窓路が表示を切り替え、魂の余剰エネルギーが流れ込んでいた先を映し出した。

 そこには、見覚えのある所属名が表示された。

 ――冥府庁官房。

「……官房?」

 俺は眉を寄せる。

「そこ、何するとこだっけ」

 全員が俺を見る。

「何だよ」

 咲良が呆れた顔になる。

「軍釟、あなた本当に部門長だったの?」

「昨日知ったって言ってんだろ!」

「官房長官くらい知ってるでしょ」

「誰だっけ」

 沈黙。

 何故か全員が俺を見ている。

「……木魂様」

 窓路が言った。

 俺は固まる。

「木魂おじさん?」

「ああ」

「官房長官なの?」

 今度こそ、会議室が完全に静かになった。

 咲良が額を押さえる。

「……あなた、木魂様を何だと思ってたの」

「窓際族」

「は?」

「いつ見ても何か作ってるか、寝てるか、酒飲んでるか、どっかの女のところ行ってるから」

 轟由羅が吹き出した。

 高尚まで顔を逸らす。

 咲良はしばらく何も言わなかった。

「冥府庁官房長官よ」

「マジで?」

「螺良様に次ぐ行政中枢の一人」

「……あのおじさんが?」

「そう!」

 
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