『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
知らなかった。

 いや、普通分からんだろ。

 あの人、全然官房長官っぽくない。

「じゃあ木魂おじさんが魂の力を抜いてたの?」

「正確には」

 窓路が僅かに目を細める。

「木魂様だけじゃない」

「誰」

 窓路は少し間を置いた。

「死神女王・緑子様」

 会議室の空気が変わった。

 緑子。

 名前くらい当然知っている。

 死神界の頂点に立つ女王。現場を統括する窓路とは別格の存在で、死神たちにとって象徴にも近い。

 そして。

「あー……」

 何か嫌な予感がする。

「木魂おじさんと、緑子さんって……」

 窓路が無表情で答えた。

「恋人関係だ」

「やっぱりか」

 あのおじさん、どこまで手広いんだ。

「で、何に使ってた」

 咲良が問う。

 窓路は表示された数値を確認しながら答えた。

「若返りと魔力強化。それから――繁殖能力の底上げ」

 
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