『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
数秒、誰も喋らなかった。

 俺が最初に口を開く。

「……何で?」

「緑子様には子どもがいない」

 紫龍が静かに言い、窓路が頷いた。

「長く悩んでいたらしい。そこで木魂様が術式を組み、緑子様自身の魔力強化、若返り、身体機能の底上げを試した。その補助エネルギーとして、魂の循環から余剰力を転用していた」

「無許可?」

「無許可」

「馬鹿なの?」

「技術的には非常に高度だ」

「聞いてない!」

 技術が高ければ何をやってもいいわけじゃない。

「で、木魂おじさんは?」

「消えた」

「は?」

「昨日、流れを止めた直後から所在不明だ」

 俺は両手で顔を覆った。

 親父は隠し部屋。

 窓路は二千五百人連れて仕事放棄。

 木魂おじさんまで逃亡。

 冥府庁の偉い奴、何で問題起こしたら全員消えるんだ。

「この役所、上から順番にどうなってんだよ……」

 
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