『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
「全部乗せじゃない!」

「これだろ」

 咲良が頭を抱える。

「駄目よ。嘘が多すぎる」

「じゃあ俺」

 俺も考える。

『緊急。木魂様行方不明。螺良様、沙羅麻様の逆鱗に触れ倒れる。死神部門、全員死亡。冥府界、現在迷走中』

 沈黙。

「……八十五点」

 高尚が言った。

「何で俺より寒山の方が高いんだよ!」

「緑子様の結婚が入ってない」

「そこ重要なのか!」

 窓路が、いつの間にか円卓の端から妙な筒状の魔道具を取り出した。

「何それ」

「庁内広域伝達器」

「そんなのあったの?」

「試作品」

「誰が作った」

「木魂様」

「本人呼ぶのに本人の装置使うのかよ!」

 しかも見るからに怪しい。

 丸い先端に妙な装飾がついている。

「普通に喋ればいいのか?」

「そのはず」

 窓路が装置へ口を近づける。

「緊急。木魂様行方不明――」

 次の瞬間、庁内全域に響き渡った声は。

『はぁ〜い♡ ちゅうもーくぅ〜♡ 木魂サマがぁ〜、行方不明なんだけどぉ〜? 螺良サマぁ、沙羅麻サマ怒らせてぇ〜、ぶっ倒れちゃったみたぁ〜い♡ しかも死神部門、ぜ・ん・め・つ♡ 冥府界、ただいま絶賛迷走中でぇ〜す♡』

 会議室が凍った。

 
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