『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
「何?」

「捕まえろ!」

 誰かが扉を閉めた。

 木魂おじさんが振り返る。

「え?」

 咲良が笑顔で言う。

「木魂様。どうぞ、お座りください」

「……怖い」

「座ってください」

「はい」

 大人しく座った。

 俺は腕を組み、その正面へ立つ。

「木魂おじさん」

「軍釟、久しぶり」

「昨日会っただろ」

「そうだっけ」

「何で逃げた」

「逃げてない」

「じゃあ何で連絡切ってた」

「忙しかった」

「何が」

「色々」

「窓路と同じ答えすんな!」

 咲良が資料を円卓へ置いた。

「魂の循環エネルギーを無許可で転用していますね」

 木魂おじさんが黙る。

「しかも長期間」

 沈黙。

「緑子様の若返り、魔力増強、身体機能向上のために」

 さらに沈黙。

 俺は木魂おじさんを見る。

「おじさん」

「……はい」

「昨日、何で逃げた」

「その質問いる?」

「いる」

 木魂おじさんは少し迷ってから、小声で言った。

「……服着てなかったから」

 会議室が静まった。

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