『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
「は?」

「正確には下着だけだった」

「何で!」

「緑子と一緒にいたから」

「もういい!」

 聞いた俺が悪かった。

 轟由羅は机へ突っ伏し、咲良は額を押さえる。

「木魂様」

「はい」

「魂エネルギーの転用について説明してください」

「俺は悪くない」

「最初にそれ言う?」

「いや、悪くないっていうか……あんなことになると思ってなかったんだよ」

 俺は顔をしかめる。

「門壊れたんだけど」

「そこまで止めると思ってなかった」

 全員の視線が窓路へ向く。

 窓路は平然としている。

「犯人を炙り出すためだ」

「だからって部門丸ごと止めるか普通!」

 木魂おじさんが窓路を指差した。

「ほら! こいつの方が悪い!」

「お前も悪い!」

「俺は技術協力しただけ」

「無許可で魂の力使ってる時点でアウトだろ!」

 木魂おじさんは少しだけ口を尖らせた。

「緑子が困ってたんだよ」

 その一言だけは、少し真面目だった。

「子どもが欲しいって、ずっと言ってた。死神女王として何百年も生きてきて、力も地位も何でも持ってるのに、それだけはどうしても叶わなかった」

 会議室の空気が、少し変わる。

「だから、少しでも可能性を上げられないかと思った。若返り、身体機能の調整、魔力の循環改善。それを全部一度にやろうとした」

「それで魂の余剰エネルギー?」

「ああ。本体に触れない範囲なら、循環の中で消費される分を使えると思った」

「許可取れよ」

「通らないと思った」

「だから勝手にやったの?」

「……そう」

「駄目じゃん!」

 
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