『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』

第四話 ――冥府庁、大混乱!? 創設者まで降ってきた!――

「吊し上げとは何だー! お前ら何をしたー、私のダーリンに!」

 怒号とともに中央会議室へ踏み込んできた死神女王・緑子は、黒と金を基調とした豪奢な衣装を纏い、長い黒髪を魔力で大きく揺らしながら、真っ直ぐ木魂おじさんのもとへ向かってきた。

 綺麗だ。

 それは認める。

 認めるが、今はそれ以上に怖い。

「木魂様!」

「緑子」

「ご無事ですか!」

「うん」

「何をされたのです!」

「話を聞かれてただけ」

「吊し上げではありませんか!」

「まあ、そうとも言う」

「言うな!」

 思わず俺が割り込むと、緑子さんの視線がこちらへ向いた。

「お前が軍釟か」

「そうだけど」

「私のダーリンを吊し上げたのは、お前か!」

「俺だけじゃねぇよ!」

「では誰だ!」

「みんな!」

「全員か!」

 何で正直に答えてんだ、俺。

 後ろでは轟由羅が顔を逸らし、高尚は何故か資料へ目を落とし、咲良は完全に知らないふりをしている。

 お前ら。

 逃げるな。

「そもそも、木魂おじさんが魂の循環エネルギーを勝手に使ってたのが原因だろ」

「勝手にではない!」

 緑子さんが即座に反論した。

「私が許可した!」

「緑子さんに許可する権限ないだろ!」

「女王だぞ!」

「死神界のだろ! 冥府庁の魂循環系統は別だ!」

「細かい!」

「細かくねぇ!」

 会議室の空気が再び荒れ始める。

 すると緑子さんが木魂おじさんの前へ立ち、庇うように両手を広げた。

「木魂様は悪くない! 私が頼んだのだ!」

「そこはさっき聞いた」

「なら話は終わりだ!」

「終わらねぇよ!」

「何故だ!」

「門が壊れたからだよ!」

 緑子さんが一瞬黙った。

「……門?」

「昨日、第一冥府門突破。第二結界も崩壊寸前。魂が冥府庁へ雪崩れ込んで、俺が全部直した」

「お前が?」

「そう!」

「それは御苦労だった」

「軽いな!」

 木魂おじさんが小声で緑子さんの袖を引く。

「緑子、たぶん俺たち、結構まずい」

「大丈夫だ、ダーリン。私が守る」

「そうじゃなくて」

「愛しているぞ」

「うん、俺も」

「ここで惚気んな!」

 
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