『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
天寵と名乗った男は周囲を見回し、母さんを見つけた瞬間、目を輝かせた。

「沙羅麻ちゃーん!」

「げ」

 母さんが珍しく嫌そうな声を出した。

「まだ螺良と続いてるの? あんな男浮気性でしょー。俺様のところへ来いよ! 楽しませるよー! ヤッホーイ!」

 母さんの笑顔が消える。

「まだ言ってるの?」

「だって好きなんだもーん!」

「二百五十年前に断ったわよね」

「知ってる!」

「なのにまだ?」

「一途と言って!」

 俺は天寵を見る。

「何歳?」

「三百!」

「母さんと同い年!?」

「そう!」

 権蔵様が椅子に縛られたまま笑っている。

「アホじゃろ」

「権蔵様に言われたくない!」

「咲良」

 俺は静かに聞いた。

「こいつどうする」

 咲良は即答した。

「拘束して、軍釟。頑丈に。あと口も」

「了解」

「待て待て待て!」

「拘束」

「おーい!」

 天寵の全身へ強化拘束が巻きつき、そのまま椅子へ固定する。

 最後に口まで封じた。

「んんー! んー!」

「静かになった」

「助かるわ」

 母さんまで満足そうだ。

 俺はもう疲れていた。

 一発目、前・閻魔大王。

 二発目、地底界王。

「あと一発……」

 神楽。

 頼むから普通の奴にしてくれ。

 
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