『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
『分かった』

 俺は雁字と権蔵様へ向き直った。

「爺さん達」

「何じゃ」

「この世界の防御を依頼する。出来ますよね、創設者二人なら」

 二人が同時に顔をしかめる。

「えー」

「えーじゃねぇ!」

「隠居なんじゃが」

「知るか!」

 俺は二人を指差した。

「魔力バチバチ出てる! 隠す気ゼロ! それだけあって出来ないとか言わせねぇからな!」

 雁字と権蔵様が顔を見合わせる。

 数秒。

 雁字が肩を竦めた。

「仕方ない」

 権蔵様も笑った。

「久しぶりに働くかの」

「最初からそうしろ!」

 その瞬間、足元へ巨大な魔法陣が広がった。

 親父の魔力。

 残っていた片足首のアンクレットが強く光る。

『軍釟、本当に外すぞ』

「ああ」

 パチン。

 遠くで親父が指を鳴らしたのが分かった。

 残っていた制御魔術が解除される。

 瞬間、身体の奥深くへ押し込められていた力が完全に解放され、凄まじい魔力が一気に周囲へ溢れ出した。

 白銀の光が視界を埋め尽くし、背中まで伸びていた銀髪がさらに強く輝く。

 けれど、その直後。

 溢れ出したはずの膨大な魔力が、しゅん、と音さえ立てそうなほど一瞬で俺の身体の周囲へ収束した。

 漏れない。

 荒れない。

 ただ、とてつもない力だけが、完全に俺の支配下へ収まっている。

「……ほぉ」

 権蔵様の声が聞こえた。

「雁字よ。こやつ、ワシらを上回る力があるのぉ」

 雁字は俺をじっと見たまま、小さく笑った。

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