『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
「力の量だけじゃない。あれだけの魔力を一瞬で全部収めた。完全に自分のものにしてる」

「さすが、お前の孫じゃの」

「まあな」

「何で爺さんが得意げなんだよ」

 そんな会話をしている間にも、俺の姿はさらに変わっていく。

 長かった銀髪は肩へ、さらに顎のあたりまで一気に短くなり、最終的には動きやすい短めの髪へ変わった。後ろの一部だけが自然にまとめられ、過剰だった装飾も光となって次々と消えていく。

 衣装まで、豪華さより完全に動きやすさを優先した形へ変わった。

 足首に残っていた制御具の名残も光となって右手首へ移り、細い腕輪へ姿を変える。

 俺は自分の腕を見て、服を見下ろし、最後に短くなった髪へ触れた。

「あー、動きやすくなった」

 周囲が妙に静かだった。

 咲良も木魂おじさんも、雁字と権蔵様までこちらを見ている。

「何」

 咲良が小さく息を吐く。

「いえ……完全に解放すると、そっちになるのね」

「俺も久しぶりだから忘れてた」

 片方だけ外された時の姿より、ずっと動きやすい。

 派手な装飾もない。

 これならまだマシだ。

「軍釟」

 雁字が笑う。

「お前は昔から、動きにくい格好が嫌いだったからな」

「……爺さん、俺のこと知ってんの?」

「螺良から話は聞いとったし、昔から何度か遠目には見とる」

「今日初めてまともに会ったけどな!」

「細かいことはいい」

「細かくねぇ!」

 そんなやり取りをしている場合ではない。

 俺は木魂おじさんを振り返った。

「今度こそ行くぞ!」

「うん」

 俺たちは境界基点へ向かった。

  
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