『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
 魔力を使うことは好きじゃない。

 本来の姿になるのも嫌いだ。

 でも、家族や仲間や世界そのものが壊れるよりはマシだった。

 一ヶ所。

 十ヶ所。

 百ヶ所。

 切れた境界を拾い上げ、繋ぎ直していく。

 最後に、最も大きく裂けていた地底界との境目へ手を伸ばした。

「木魂おじさん!」

「魂流量正常化!」

「よし!」

 俺は両手を合わせる。

「境界接続――完全修復」

 白銀の光が一気に広がった。

 雁字と権蔵様が外側から構造を押さえ、母さん、親父、天寵、緑子さん、窓路、各部門長が、それぞれの場所から境界と流れを支えている。

 一人で直しているわけではない。

 全員で。

 最後の亀裂が、ゆっくりと閉じた。

 同時に、それまで空中へ表示されていた警告が一つずつ消えていく。

 やがて、すべてが静かになった。

 本当に、嘘みたいに。

『境界安定率、一〇〇パーセント』

 咲良の声が響く。

『魂流量、正常。冥府門、正常。死神界、地底界、天界との接続も安定しました』

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