『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
『警告。第二結界、耐久値低下』
第一冥府門が突破され、第二結界まで破られれば、次は冥府庁そのものを守る中央結界へ負荷が集中する。このまま魂の流入が続けば、冥府と外界との境界そのものが崩れかねない。
「……マジで洒落になってねぇぞ」
俺は端末を掴んで中央管理系統へ接続し、増え続ける流入数を確認した。
「おい、誰か代われ。俺は上に行ってくる」
そう言って受付から離れようとしたところで、背後から慌てた声が飛んでくる。
「えっ、軍釟さん!?」
振り返ると、俺の部下である古衣留が吹き抜けの下を覗き込みながら、思い切り顔を引きつらせていた。
「え〜……何これ。ヤバいですやん、ヤバいですやん! 俺たちも逃げなきゃ!」
「待てぇ!」
踵を返そうとした古衣留の襟首を掴み、そのまま引き戻す。
「お前らは俺の代わりに、ここで仕事しろ」
「またですか〜!」
「またとか言うな。このままじゃ門どころか冥府庁そのものが持たねぇんだよ」
「でも、これ俺たちでどうにかできる量じゃないですやん!」
「だから俺が上へ行くんだよ。親父を動かすしかないだろ」
古衣留が目を丸くする。
「閻魔大王・螺良《つぶら》様、居ないんですか?」
「さっき所在確認させた」
「それで?」
手元の端末を見ると、表示されていたのは見たくもない四文字だった。
――所在不明。
「……いねぇ」
「え?」
「所在不明だとよ」
古衣留は数秒固まったあと、ゆっくり吹き抜けの下へ目をやった。
魂の濁流、ひび割れていく結界、鳴り響く警報。そのうえ最高責任者まで所在不明となれば、逃げたくなる気持ちも分からなくはない。
「……それ、もっとヤバいですやん」
第一冥府門が突破され、第二結界まで破られれば、次は冥府庁そのものを守る中央結界へ負荷が集中する。このまま魂の流入が続けば、冥府と外界との境界そのものが崩れかねない。
「……マジで洒落になってねぇぞ」
俺は端末を掴んで中央管理系統へ接続し、増え続ける流入数を確認した。
「おい、誰か代われ。俺は上に行ってくる」
そう言って受付から離れようとしたところで、背後から慌てた声が飛んでくる。
「えっ、軍釟さん!?」
振り返ると、俺の部下である古衣留が吹き抜けの下を覗き込みながら、思い切り顔を引きつらせていた。
「え〜……何これ。ヤバいですやん、ヤバいですやん! 俺たちも逃げなきゃ!」
「待てぇ!」
踵を返そうとした古衣留の襟首を掴み、そのまま引き戻す。
「お前らは俺の代わりに、ここで仕事しろ」
「またですか〜!」
「またとか言うな。このままじゃ門どころか冥府庁そのものが持たねぇんだよ」
「でも、これ俺たちでどうにかできる量じゃないですやん!」
「だから俺が上へ行くんだよ。親父を動かすしかないだろ」
古衣留が目を丸くする。
「閻魔大王・螺良《つぶら》様、居ないんですか?」
「さっき所在確認させた」
「それで?」
手元の端末を見ると、表示されていたのは見たくもない四文字だった。
――所在不明。
「……いねぇ」
「え?」
「所在不明だとよ」
古衣留は数秒固まったあと、ゆっくり吹き抜けの下へ目をやった。
魂の濁流、ひび割れていく結界、鳴り響く警報。そのうえ最高責任者まで所在不明となれば、逃げたくなる気持ちも分からなくはない。
「……それ、もっとヤバいですやん」