総長の溺愛は、夜よりあぶない。
次の日の放課後。
紗月は、昨日蓮にかけてもらった上着を大事に抱えて、例の町へ向かっていた。
夜じゃないだけで、少しだけ怖さはましだった。けれど、やっぱり空気は普通の町と違う。すれ違う人の視線も、道の奥にある古びた建物も、どこか緊張する。
「ここ…だよね」
昨日、蓮に言われた場所の前で立ち止まる。
そこは大きな倉庫のような建物だった。入口の近くには数台のバイクが並び、壁には見たことのない派手な落書きがある。
どうしよう、と迷っていると、
「……誰?」
後ろから声がした。
振り向くと、数人の男の子たちが立っていた。制服を着崩していて、どこか鋭い雰囲気がある。普通なら怖いはずなのに、みんな紗月を見るなり少し驚いたように目を見開いた。
「えっと、あの……一ノ瀬くんに、上着を返しにきました」
そう言った瞬間、空気が変わった。
「は!?」
「蓮さんに?」
「しかも上着!?」
一気にざわつく。
紗月はびくっと肩を揺らした。
「ご、ごめんなさい……?」
「いや、謝るとこじゃねぇけど!」
金髪の男の子が頭をかかえる。
その隣の少し落ち着いた雰囲気の子が、じっと紗月を見た。
「もしかして、昨日蓮さんが助けた子?」
「え、はい……」
その答えに、みんなが顔を見合わせる。
「まじか」
「だから昨日あんな機嫌悪かったのか」
「いや、逆に機嫌よかった説ある」
「それはそれで怖ぇよ」
ひそひそ声が聞こえて、紗月はますますおろおろした。
紗月は、昨日蓮にかけてもらった上着を大事に抱えて、例の町へ向かっていた。
夜じゃないだけで、少しだけ怖さはましだった。けれど、やっぱり空気は普通の町と違う。すれ違う人の視線も、道の奥にある古びた建物も、どこか緊張する。
「ここ…だよね」
昨日、蓮に言われた場所の前で立ち止まる。
そこは大きな倉庫のような建物だった。入口の近くには数台のバイクが並び、壁には見たことのない派手な落書きがある。
どうしよう、と迷っていると、
「……誰?」
後ろから声がした。
振り向くと、数人の男の子たちが立っていた。制服を着崩していて、どこか鋭い雰囲気がある。普通なら怖いはずなのに、みんな紗月を見るなり少し驚いたように目を見開いた。
「えっと、あの……一ノ瀬くんに、上着を返しにきました」
そう言った瞬間、空気が変わった。
「は!?」
「蓮さんに?」
「しかも上着!?」
一気にざわつく。
紗月はびくっと肩を揺らした。
「ご、ごめんなさい……?」
「いや、謝るとこじゃねぇけど!」
金髪の男の子が頭をかかえる。
その隣の少し落ち着いた雰囲気の子が、じっと紗月を見た。
「もしかして、昨日蓮さんが助けた子?」
「え、はい……」
その答えに、みんなが顔を見合わせる。
「まじか」
「だから昨日あんな機嫌悪かったのか」
「いや、逆に機嫌よかった説ある」
「それはそれで怖ぇよ」
ひそひそ声が聞こえて、紗月はますますおろおろした。