総長の、夜よりもあぶない溺愛。
蓮に手を引かれたまま、紗月は宵闇のアジトの中へ入った。

外から見た時より広くて、少し薄暗い。奥にはソファやテーブルがあって、壁際にはヘルメットや工具が雑に置かれている。怖い場所のはずなのに、どこか仲間たちの居場所みたいな空気もあった。

「そこ座れ」

蓮がソファを指さす。

紗月が小さくうなずいて座ると、蓮は近くの冷蔵庫から飲み物を取り出した。迷いなく一本選んで、紗月の前に置く。

「え、私に?」

「見りゃ分かるだろ」

ぶっきらぼうに言うくせに、ちゃんと冷えていないものを選んでいるあたりが妙に優しい。

それを見ていた仲間たちが、またひそひそし始めた。

「蓮さんが自分で出した」

「しかもあの子にだけ」

「いつも俺らには勝手に取れなのに」

紗月は思わず蓮を見る。
蓮は聞こえていないふりをしているけれど、少しだけ機嫌が悪そうだった。
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