極甘クールな芸能人幼なじみの意地悪な溺愛~デート編・那月視点~
みせつけてやろっか
外を堂々と並んで歩けるなんて信じられない。
幸せすぎて熱かったり暑かったりで頭がバグりそう。
俺より嬉しそうにしてる紗知を見てるだけで、もうこんなにも楽しい。
今日は仕事のことなんか気にしないでずっとそんな紗知を見てていいんだ。
一緒に登校って最高。
不意に奪った手。
ふわふわの小さな白い手。
ぎゅっとしてくるのも不意に胸にぶつかる細い肩も、見上げる視線も照れた笑顔もほんとにぜんぶ独り占めしていいんだ。
てか、さっきから俺のこと見つめすぎじゃない?
ほどほどにしてくれないと先が思いやられるって。デレデレな顔、あんま見られたくないし。
電車が混んでるからってシャツの裾を引っ張って、やっぱやめようって不安そうにする姿。
そんなちっちゃな体で俺のこと守ろうとしてんの? 理性崩壊どころじゃなくなるんで、そういうのマジでやめて欲しい。
それにバレたらバレたでいいって実はずっと思ってた。だって18になったら結婚できるし。
でもそういうの、簡単に言っちゃダメだからずっと我慢してんだよ。
「今すぐ結婚しよ」って言いたいのを堪えるのがこれで何千回目なのかもうよくわかんない。
電車に乗ったら乗ったで紗知はやっぱ流れに乗れず離れそうになった。
周りは男ばっかだし、体が当たっても文句は言えない。
だけど誰にも触らせないまま電車を降りる。
最初からそのつもりでいた。
堂々とくっつけるの嬉しい。
周りにはわかんないように腰の辺りを抱えてたんだけど、大好きな匂いにクラクラしてきた。
どんどん離れがたくなる。
でも髪に顔を埋めるのは夜まで我慢。
そんなふうに煩悩と戦ってたのにふいに振り向かれて焦った。
切実な目で見上げてくるなんて。
不意打ちはずるいって。
しがみついたり胸に顔寄せたり……そういう甘えモードなイベントが1個くらいあってもいいのにって期待したけど全然違った。
少し離れた場所の女子二人組がこっちを見てるって、不安になったみたい。
でもあっちは俺が一佳だって勘ぐってる訳じゃなさそう。なんか存在が気になるからもっと間近で見てみたい、くらいの好奇心だと思う。
長くこの仕事をしてるから、そういうのはなんとなくわかる。
じゃあ、俺には可愛い彼女がいるってアピールしよ。
お姉さんたち、ちゃんと見ててね。
そんで俺に興味なくしてください。
そんな気持ちで見せつけるように紗知を胸のなかに隠した。
前屈みになって、すべて全部包み込んで。
誰の手にも触れさせないし、誰の目にも晒したくない。
大事な宝物を見せびらかしたいような、でも誰にも知られたくないような気持ち、わかるよね?
でも紗知は緊張してなのか棒立ちになってる。
そんなんじゃよろけるから、尚更抱きつくけど大丈夫?
ずーっと心臓の音が聞こえてるし、顔は真っ赤だから息継ぎタイムしなきゃダメかもって次の駅で降りることにした。
てか、俺がもうダメ。
キツキツの仕事を徹夜でこなした後に、この距離に紗知がいるってかなりのお預け状態だもん。
家だったら尚更ヤバかった。