極甘クールな芸能人幼なじみの意地悪な溺愛~デート編・那月視点~
委員会活動を張り切ってただけなのに
学校に着いた。
待ってました、委員会のお仕事タイム。
紗知は生徒が多いことを気にしてるみたいだけど、変装には自信があったし不安より楽しみの方が勝ってる。
地味メンとしてそつなく仕事をこなして、紗知にいっぱい褒められたい。
『また同じ委員会に入ろうね』
『放課後テス勉して帰ろうよ』
『教科書貸して~』
『お弁当一緒に食べたいな』
言われたい言葉が尽きなくて、水を撒きながらぼーっとそんなことを妄想してた。
ふわふわしていい気分だったのに、紗知は女子ふたりにひっかかってしまった。
俺が田淵じゃないって気づいてるってことは同じクラスか。しかも、こっちを気にしてる。
オーラはゼロにしてたつもりだけど、女子ってなんでこんなに勘がいいんだろう。
紗知が機転を効かせて追い払ってくれたから、ホースを用具小屋に片付けに行く途中で別の女の子に声をかけられた。
「今一目惚れしました! 好きです、付き合ってください!」
「へ?」
たぶん、今、部活途中でしょ。
ショートカットの小柄な女子。
後ろの友達に付き添ってもらって終始そわそわしてる。
すぐそばにハードルが並んでるから陸上部かな。
ウェアもそんな感じ。
練習中に、ただ委員会活動をしてる男子が視界に入って一目惚れしたって……そんなことある?
「突然変なこといって困らせてたらごめんなさい。でもなんか……先輩がすごくキラキラに見えて目が離せなくて。スタートのホイッスルも聞こえなくなって」
この制服見て先輩って呼んだってことは一年生?
ピュアすぎない?
でもその気持ちわかる。
俺もほとんど一目惚れだったし、好きになるのなんて一瞬あれば充分だって知ってる。
「ありがとう。でも彼女いるから応えられないんだ。ごめんね」
地味メンのフリはやめよう。
ちゃんと誠意をこめてお断りした。
「じゃあクラスと名前だけでも教えてください」
「今度また会えたらね。部活頑張って」
もう二度と会うことはないし、これでいいか。
さすがの俺もびっくりしたから急いで立ち去ったけど……どうしよう。
紗知に秘密ができてしまった。