加納欄のオレオレ詐欺
「じゃあ、なぜ?」

欄が目を丸くした。

「ソイツらが来たら、包丁で自分の胸刺して死んでやろうと思ってな」

「えっ?」

「そしたら、保険金もおりるじゃろ?」

「婆ちゃん!」

孫が慌てて婆ちゃんの前に出た。

「アホか! 死ぬより、警察に相談だよ!」

「そうですね」

欄も婆ちゃんのそばへ寄った。

「今回はお孫さんの機転で助かりましたけど」

婆ちゃんが欄を見る。

「何かあったら、遠慮なく警察に相談してください」

「……わかったよ」

欄は黙って婆ちゃんを見つめた。

「じゃあ、私たちはこれで」

大山と一緒に頭を下げる。

二人は婆ちゃんの家を出た。

外へ出たところで、大山が足を止めた。

「ちょっと気に食わねぇな」
< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop