春の月明かり
4本の薔薇と、月明かりの贈り物
12月28日。
年末の冷たい風が吹く中、明凛は少し早く目を覚ました。
今日は、明凛の誕生日。
そして、麗と過ごす、付き合って初めての年末だった。
スマートフォンを見ると、麗からメッセージが届いていた。
『明凛、お誕生日おめでとう。今日、会える?』
明凛は、思わず笑顔になった。
『ありがとう! 会いたい』
すぐに返事を送る。
今日は、麗に渡したいものがあった。
少し遅くなってしまったけれど、クリスマスプレゼント。
何を贈ったら喜んでくれるだろう。
そう考えながら、明凛は大切に包んでおいたプレゼントを手に取った。
中に入っているのは、スノードーム。
透明なドームの中には、月と、その下で手を繋いでいる男女の小さな人形が入っている。
まるで、二人が一緒に夜空を見上げているような、優しい雰囲気のものだった。
明凛は、それを見つめて小さく呟いた。
「神志那くん、喜んでくれるかな……」
少し緊張しながら、待ち合わせ場所へ向かった。
冬の空は澄んでいて、街の景色もどこか静かだった。
待ち合わせ場所に着くと、麗が立っていた。
「明凛!」
「神志那くん!」
麗は、明凛を見ると優しく笑った。
「誕生日、おめでとう」
「ありがとう!」
その言葉を聞いただけで、明凛の胸が温かくなった。
「はい、これ」
麗が、そっと何かを差し出した。
「え?」
「明凛に、プレゼント」
明凛は、驚いて目を丸くした。
「誕生日の?」
「うん」
受け取った包みを開けると、そこには四本の薔薇が入っていた。
赤い薔薇が四本。
明凛は、しばらく言葉が出なかった。
「……薔薇」
「うん。前に渡した一輪の薔薇、覚えてる?」
「もちろん……!」
麗は少し照れたように笑った。
「今回は4本にしてみたんだ」
明凛は、薔薇を大切そうに見つめた。
4本の薔薇には、「愛してる」という花言葉があるとされている。
麗は、その意味を込めて贈ってくれたのだ。
「……神志那くん」
「ん?」
「すごく、嬉しい」
明凛の目が、少し潤んだ。
「ありがとう。大切にするね」
「喜んでくれてよかった」
麗は、ほっとしたように笑った。
明凛は、四本の薔薇を胸の前で大事に抱えた。
1本の薔薇をもらった日。
麗が告白してくれた、忘れられない日。
そして今日、4本の薔薇をもらった。
花に込められた想いが、明凛の心にゆっくりと広がっていく。
「私も、神志那くんに渡したいものがあるの」
「俺に?」
「うん。ちょっと遅くなっちゃったけど、クリスマスプレゼント」
明凛は、持ってきた包みを差し出した。
「開けてみて」
麗は、丁寧に包みを開けた。
中から出てきたのは、スノードームだった。
透明なドームの中には、月が浮かんでいる。
その下で、小さな男女の人形が手を繋いでいた。
「……きれいだね」
麗は、スノードームをそっと持ち上げた。
「月の下で、手を繋いでるんだ」
「うん。神志那くんに似合うかなって思って」
明凛は、少し恥ずかしそうに笑った。
「二人が一緒にいる感じが、いいなって思ったの」
麗は、ドームの中をじっと見つめていた。
「ありがとう、明凛」
その声は、いつもより少し優しく聞こえた。
「大切にするね」
「うん!」
二人は、顔を見合わせて笑った。
そのあと、近くをゆっくり歩きながら、いろいろな話をした。
中学校のこと。
受験のこと。
これから始まる高校生活のこと。
麗は、星ヶ丘高校への推薦が決まっている。
明凛も、桜ヶ丘高校の福祉科を専願で受験することに決めていた。
高校が違うことも、麗が隣の市のおじいちゃんの家から通うことも、二人はわかっている。
それでも、今はこうして一緒にいられる。
「ねえ、神志那くん」
「なに?」
「高校が違っても、こうやって誕生日とか、クリスマスとか、一緒に過ごせたら嬉しいな」
麗は、明凛を見て微笑んだ。
「うん。これからも、一緒に過ごそう」
「約束?」
「約束」
明凛は、嬉しそうに頷いた。
ふと、麗が手に持っていたスノードームを見つめた。
「この人形、俺たちみたいだね」
「……え?」
「月の下で、手を繋いでるところ」
明凛の頬が、赤くなった。
「そ、そうかな……」
「うん。俺は、そう思った」
麗は少し照れたように笑った。
明凛は、4本の薔薇を見つめた。
今日もらった、愛してるという想い。
そして、自分が麗に贈った、月明かりのスノードーム。
離れ離れになる未来が近づいていても、二人の心は、少しずつ確かなものになっていた。
帰り道。
明凛は、麗の隣を歩きながら言った。
「神志那くん、今日は本当にありがとう」
「こちらこそ。プレゼント、嬉しかったよ」
「よかった」
「誕生日、おめでとう。明凛」
もう一度言われて、明凛は笑顔になった。
「ありがとう」
家に帰ると、明凛は四本の薔薇を大切に飾った。
そして、スケッチブックを開く。
今日の薔薇。
麗の優しい笑顔。
月の下で手を繋ぐ、スノードームの小さな人形。
今日の思い出を、ひとつずつ描いていく。
絵の下に、明凛は文字を書き添えた。
『12月28日。誕生日に、四本の薔薇をもらった日』
その隣には、小さくもうひとつ。
『神志那くんに、月明かりのスノードームを贈った日』
明凛は、描き終えた絵を見つめて微笑んだ。
4本の薔薇に込められた「愛してる」。
月の下で手を繋ぐ、小さな二人。
冬の夜空の下で、明凛の心は、幸せでいっぱいだった。
受験まで、あと少し。
卒業まで、あと少し。
それぞれの夢へ進む二人の時間は、ゆっくりと、でも確かに流れていた。
年末の冷たい風が吹く中、明凛は少し早く目を覚ました。
今日は、明凛の誕生日。
そして、麗と過ごす、付き合って初めての年末だった。
スマートフォンを見ると、麗からメッセージが届いていた。
『明凛、お誕生日おめでとう。今日、会える?』
明凛は、思わず笑顔になった。
『ありがとう! 会いたい』
すぐに返事を送る。
今日は、麗に渡したいものがあった。
少し遅くなってしまったけれど、クリスマスプレゼント。
何を贈ったら喜んでくれるだろう。
そう考えながら、明凛は大切に包んでおいたプレゼントを手に取った。
中に入っているのは、スノードーム。
透明なドームの中には、月と、その下で手を繋いでいる男女の小さな人形が入っている。
まるで、二人が一緒に夜空を見上げているような、優しい雰囲気のものだった。
明凛は、それを見つめて小さく呟いた。
「神志那くん、喜んでくれるかな……」
少し緊張しながら、待ち合わせ場所へ向かった。
冬の空は澄んでいて、街の景色もどこか静かだった。
待ち合わせ場所に着くと、麗が立っていた。
「明凛!」
「神志那くん!」
麗は、明凛を見ると優しく笑った。
「誕生日、おめでとう」
「ありがとう!」
その言葉を聞いただけで、明凛の胸が温かくなった。
「はい、これ」
麗が、そっと何かを差し出した。
「え?」
「明凛に、プレゼント」
明凛は、驚いて目を丸くした。
「誕生日の?」
「うん」
受け取った包みを開けると、そこには四本の薔薇が入っていた。
赤い薔薇が四本。
明凛は、しばらく言葉が出なかった。
「……薔薇」
「うん。前に渡した一輪の薔薇、覚えてる?」
「もちろん……!」
麗は少し照れたように笑った。
「今回は4本にしてみたんだ」
明凛は、薔薇を大切そうに見つめた。
4本の薔薇には、「愛してる」という花言葉があるとされている。
麗は、その意味を込めて贈ってくれたのだ。
「……神志那くん」
「ん?」
「すごく、嬉しい」
明凛の目が、少し潤んだ。
「ありがとう。大切にするね」
「喜んでくれてよかった」
麗は、ほっとしたように笑った。
明凛は、四本の薔薇を胸の前で大事に抱えた。
1本の薔薇をもらった日。
麗が告白してくれた、忘れられない日。
そして今日、4本の薔薇をもらった。
花に込められた想いが、明凛の心にゆっくりと広がっていく。
「私も、神志那くんに渡したいものがあるの」
「俺に?」
「うん。ちょっと遅くなっちゃったけど、クリスマスプレゼント」
明凛は、持ってきた包みを差し出した。
「開けてみて」
麗は、丁寧に包みを開けた。
中から出てきたのは、スノードームだった。
透明なドームの中には、月が浮かんでいる。
その下で、小さな男女の人形が手を繋いでいた。
「……きれいだね」
麗は、スノードームをそっと持ち上げた。
「月の下で、手を繋いでるんだ」
「うん。神志那くんに似合うかなって思って」
明凛は、少し恥ずかしそうに笑った。
「二人が一緒にいる感じが、いいなって思ったの」
麗は、ドームの中をじっと見つめていた。
「ありがとう、明凛」
その声は、いつもより少し優しく聞こえた。
「大切にするね」
「うん!」
二人は、顔を見合わせて笑った。
そのあと、近くをゆっくり歩きながら、いろいろな話をした。
中学校のこと。
受験のこと。
これから始まる高校生活のこと。
麗は、星ヶ丘高校への推薦が決まっている。
明凛も、桜ヶ丘高校の福祉科を専願で受験することに決めていた。
高校が違うことも、麗が隣の市のおじいちゃんの家から通うことも、二人はわかっている。
それでも、今はこうして一緒にいられる。
「ねえ、神志那くん」
「なに?」
「高校が違っても、こうやって誕生日とか、クリスマスとか、一緒に過ごせたら嬉しいな」
麗は、明凛を見て微笑んだ。
「うん。これからも、一緒に過ごそう」
「約束?」
「約束」
明凛は、嬉しそうに頷いた。
ふと、麗が手に持っていたスノードームを見つめた。
「この人形、俺たちみたいだね」
「……え?」
「月の下で、手を繋いでるところ」
明凛の頬が、赤くなった。
「そ、そうかな……」
「うん。俺は、そう思った」
麗は少し照れたように笑った。
明凛は、4本の薔薇を見つめた。
今日もらった、愛してるという想い。
そして、自分が麗に贈った、月明かりのスノードーム。
離れ離れになる未来が近づいていても、二人の心は、少しずつ確かなものになっていた。
帰り道。
明凛は、麗の隣を歩きながら言った。
「神志那くん、今日は本当にありがとう」
「こちらこそ。プレゼント、嬉しかったよ」
「よかった」
「誕生日、おめでとう。明凛」
もう一度言われて、明凛は笑顔になった。
「ありがとう」
家に帰ると、明凛は四本の薔薇を大切に飾った。
そして、スケッチブックを開く。
今日の薔薇。
麗の優しい笑顔。
月の下で手を繋ぐ、スノードームの小さな人形。
今日の思い出を、ひとつずつ描いていく。
絵の下に、明凛は文字を書き添えた。
『12月28日。誕生日に、四本の薔薇をもらった日』
その隣には、小さくもうひとつ。
『神志那くんに、月明かりのスノードームを贈った日』
明凛は、描き終えた絵を見つめて微笑んだ。
4本の薔薇に込められた「愛してる」。
月の下で手を繋ぐ、小さな二人。
冬の夜空の下で、明凛の心は、幸せでいっぱいだった。
受験まで、あと少し。
卒業まで、あと少し。
それぞれの夢へ進む二人の時間は、ゆっくりと、でも確かに流れていた。