その青は沈む
 それから、一週間、そして二週間と、同じような日々を過ごした。そして、全部の歌詞が出来た時には、夏が来ていた。

 彼女……、いや、妹とは連絡を取り合うようになったけど、あの日からどこへ行こうかと、目的地が決められずにいた。
 歌詞は預けてあるから、特に用事がない。曲作りを見に行ったら、どうせ邪魔扱いされる。そう考えて、携帯の時計を見たら、お昼に近づいていた。

 ご飯に誘おうと思って、電話を掛けたら、「翔太、ごめん。いま忙しくて、頭が回らないの……」と妹は言って、ため息を吐いた。

「僕にできることある……?」すぐに聞いた。

「ん……。あ……、病院まで送っていってほしい……」
 妹の声は思い詰めてるようで、どこか上の空にも聞こえた。

「わかった。いますぐ行くから、待ってて」僕はそう言って、車の鍵を持って、駆け足で部屋を出た。

 妹の家に向かうまで、ずっと『病院』という二文字が頭の中でちらついて、落ち着けなかった。
 怪我をしたのか、それとも……。いや、考えないほうがいい。妹の声はしっかり聞いたし、元気はなかったけど、ちゃんと家にいる。
 赤信号で止まるたびに、舌打ちして、ハンドルを軽く叩いてた。

 焦っても仕方ないだろ……と自分を強く叱って、ハンドルを握った。そして、妹の家へ着いたら、妹は外で大きなバッグを地面に置いて待っていた。

「いきなり、ごめんね……」妹は言いながら、バッグを後部座席に乗せてから、助手席に乗ってきた。

「暇だったし、平気。というか、どうしたの?」僕はそう聞いて、車を走らせた。

「佐伯さんが、今朝、急にお腹が痛いって言い出して……。タクシーで病院行ったんだけど、手術になるかもしれないって……」

 妹の話や声を聞いてから、赤信号でそっと横を見た。

「大丈夫だって、あいつはめっちゃ強いし、殴られても平気だし。柚月が落ち着くまで、僕がそばにいるから、ね」

 妹は小さく頷いてみせた。不安の大きさは違っても、想う気持ちは一緒だ。妹の不安に寄り添えてるかは分からない。けど、妹はシフトレバーに置いた僕の手の小指を、軽く掴んでいた。

 そして病院へ着くと、すぐに妹は荷物を手にして、助手席から出ていった。僕は空いてる駐車スペースを探して回った。
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