流れ星に願いをこめて。
そういうところが、昔からずるい。

「たぶんって、なにそれ」

 思わず笑うと、彼はほんの少しだけ肩の力を抜いた。
 その表情を見た瞬間、遠かった時間が少しだけ縮まった気がした。

「……元気そうでよかった」

 静かに落ちたその一言に、胸がきゅっと締めつけられる。

 そんな顔で、そんな声で言われたら。
 ずっと会いたかった気持ちまで、全部知られてしまいそうだ。

 夜風が、ふたりのあいだをそっと通り過ぎる。
 見上げた空の先で、星がひとつ、かすかに揺れた気がした。

 運命なんて信じていなかった。
 信じたら傷つくと思っていた。

 それでも今だけは、信じてもいいのかもしれない。

 忘れたくても忘れられなかった人が、またこうして目の前にいる。
 それだけで、この再会にはきっと意味がある。

 ねえ、もしこれが運命なら。
 今度こそ、もう見失いたくない。

 その瞬間。
 夜空を、一筋の光が静かに駆け抜けた。

「……流れ星」

 わたしが小さくつぶやくと、隣で彼も空を見上げた。

「ああ」

 短い返事。
 でも、その声はどこかやわらかい。

「願いごと、間に合わなかったな」

 そう言って笑うと、彼は少しだけ黙ってから、低い声で言った。

「間に合わなくても、たぶん」

「え?」

「大事な願いって、簡単には消えないだろ」

 不器用なその言葉に、胸が熱くなる。

 流れ星みたいに、一瞬で過ぎ去ってしまうものだと思っていた。
 でも、消えたように見えても、本当はずっと心の中に残り続ける想いもあるのかもしれない。

 たとえば、あの日の約束みたいに。
 たとえば、今もまだ消えない、この気持ちみたいに。
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