流れ星に願いをこめて。
少し甘くて、少し苦しくて。
 触れたら壊れそうなくらい、やわらかい空気。

 やがて見慣れた角が近づいてくる。
 わたしの家は、もうすぐだった。

「……ここ曲がれば、家だから」

「そっか」

 たったそれだけなのに、なぜか少しさみしい。
 もっと一緒にいたいなんて、口に出せるわけもなかった。

「送ってくれてありがと」

「別に。送ったってほどでもない」

「でも、うれしかった」

 そう言うと、玲央くんは一瞬だけ目を伏せて、すぐにわたしを見た。

「紗月」

「うん?」

「また、会える?」

 その言葉は、思っていたよりずっとまっすぐだった。

 胸の奥にしまっていた願いが、そっと光を取り戻していく。
 流れ星みたいに一瞬じゃなくて。
 今度はちゃんと、つながっていく気がした。

 わたしは小さく笑って、でもはっきりとうなずいた。

「会えるよ」

 すると彼は、ほんの少しだけ安心したように目元をやわらげた。

「じゃあ、また」

「うん。またね」

 手を振ると、玲央くんも少し遅れて、ぎこちなく手を上げた。

 その仕草さえ、どうしようもなく愛しく見えてしまう。
 ほんとにだめだ。
 やっぱりわたしは、まだ君が好きだ。

 家の前まで来て、もう一度だけ振り返る。
 離れていく後ろ姿を見つめながら、そっと夜空を見上げた。

 もし次に流れ星が流れたら。
 今度こそ、ちゃんと願える気がする。

 また会えますように。
 できるならその先も、少しずつ。
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