ラブ・イン・ダーク
次の日の昼休み。
白雪みうは、教室の窓から見える中庭をぼんやり眺めていた。

昨夜のことが、まだ夢みたいだった。

月華の総長、桜庭朔夜。
怖いって噂の人。
なのに、みうを家まで送ってくれて、連絡先まで交換した。

思い出すだけで、頬が熱くなる。

「みう、さっきから顔赤くない?」

隣の席の友達にそう言われて、みうは慌てて首を振った。

「な、なんでもないよっ」

そう返した、そのときだった。

教室の外が急にざわついた。

廊下の向こうから、女の子たちの黄色い声が聞こえる。

「え、誰あれ」
「やば、めっちゃイケメン……!」
「しかも人数多くない!?」

みうが不思議に思って扉のほうを見ると、次の瞬間、教室の空気が止まった。

先頭に立っていたのは、桜庭朔夜だった。

制服ではなく黒を基調にした服。
相変わらず近寄りがたいほど綺麗で、ひと目で周囲の視線を奪っていく。

その後ろには、同じくらい目立つ男の子たちが何人もいた。

長身でやわらかく笑う人。
金髪で軽そうに見える人。
無口で鋭い目をした人。
それぞれ雰囲気は違うのに、全員ただ者じゃない空気をまとっている。

月華の幹部たちだ。
その事実に気づいた瞬間、教室中が一気にざわめいた。

「し、白雪みう」

低い声で名前を呼ばれ、みうの肩が跳ねる。

朔夜は教室の入口にもたれたまま、まっすぐみうを見ていた。

「迎えに来た」

その一言で、教室が悲鳴みたいなざわめきに包まれる。

「えええっ!?」
「迎えってどういうこと!?」
「白雪さん、月華の総長と知り合いなの!?」

みうは顔を真っ赤にして立ち上がった。

「さ、桜庭くんっ、なんでここに……!」

すると、朔夜の後ろから、ひょこっと明るい声が飛んでくる。

「総長、そういう言い方すると怖がられるって」

にこにこと笑いながら前に出てきたのは、茶色い髪の優しそうな男の子だった。
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