たしかにお姫様に憧れたことはあるけれども、一夜の過ちから親会社の若社長に「キミ以外あり得ない」と溺愛されるなんて、ありえないですよね?

***

二日経過し、東京への引っ越しが終わった。

「ありがとうございましたー」

引っ越し業者への挨拶が終わり、部屋の中に山積みになった未開封の段ボールに自然とため息が出た。
(これから荷解き……着任までに終わらせないと……夜には郵便局に出した荷物も届くし……)
ただ、この部屋はかなり気に入っている。
会社が一棟買ったオートロックのマンション。
港区にあるマンションで、七階。
その上、築年数も浅そう。
もし、この条件の部屋を普通の会社員である私が借りようとすれば生活は破綻してしまうだろう。
そんなマンションで住めることに心躍る気分だ。
気持ちを切り替えて荷解きをしようとすれば、部屋に着いたばかりだというのにインターフォンが鳴った。

「もう荷物……? おかしいな。早くても夜って言ってたのに……」

そう思い、カメラを確認すると見覚えのある男が立っていた。
東堂社長である。
なんでいるの。
そう思いながら、通話ボタンを押した。

「何してるんですか」
「よかった。もうこっち着いてたんだ。手伝いに来たよ」

誰も手伝いに来て欲しいなんて言っていないのに、さも当然のように言う彼に言葉が詰まった。
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