幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い

家に帰ってからも、私はなんとなく落ち着かなかった。

机に鞄を置いて、制服を着替えて。
いつもならそのままスマホを見たり、宿題を始めたりするのに、今日は何度も今日のことを思い出してしまう。

――好きなアイス、覚えててくれた。

たったそれだけのことなのに。


「……なんでこんなに嬉しいんだろ」


小さく呟いて、ベッドに座る。

蓮が私の好きなものを知っているのは、昔からだ。

小さい頃から一緒にいるんだから、当然と言えば当然。

好きな食べ物も、苦手なものも。
朝が弱いことも、寒いのが苦手なことも。

きっと、私も蓮のことなら同じくらい知っている。

それなのに。

最近は、今まで気にしたことのなかったことまで気になってしまう。

今日だって、隣を歩いているときの距離とか。
名前を呼ばれたときの声とか。
何気なく笑った顔とか。

思い出すたびに、胸の奥が少しだけざわついた。


「……変なの」


私はそう言って、枕に顔を埋める。

蓮は何も変わっていない。

たぶん。

いつも通り優しくて、いつも通り私のことを気にかけてくれているだけ。

なのに。

どうしてだろう。

今までと同じはずなのに、少しだけ違って見える。

その理由を、私はまだ知らなかった。
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