幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い

 放課後。

 私は教室で荷物をまとめながら、何度も時計を見ていた。

 まだかな。

 そう思った瞬間。


「結菜」

「……!」


 教室の入り口に蓮が立っていた。


「帰る?」

「う、うん」


 私は急いで鞄を持つ。


「待たせた?」

「全然」

「よかった」


 教室を出て、並んで歩く。

 いつものように、蓮が私の歩く速さに合わせてくれる。

 車が来れば、さりげなく私を道路の反対側にする。

 小さい頃から変わらない。


「……蓮ってさ」

「ん?」

「昔から優しかったよね」

「急に何」

「なんとなく」


 蓮は少し黙ってから、


「別に」


 と答えた。


「でも、昔から結菜にはそうだったと思う」

「そうなの?」

「うん」

「私、覚えてない」

「……だろうな」

「何それ」


 蓮が少し笑った。

 その横顔を見て、また胸が跳ねる。

 私は慌てて前を向いた。


「……」


 どうして?

 さっきから、こんなことばかり。

 蓮が笑っただけなのに。

 近くにいるだけなのに。

 なんでこんなに気になるんだろう。
< 12 / 61 >

この作品をシェア

pagetop