幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


校門を出ると、夕方の風が少し冷たかった。

私は制服の袖を指先まで引っ張る。

それに気づいたのか、蓮が歩く速度を少しだけ落とした。

私に合わせるように。

そのことに気づいてしまうと、また胸が温かくなる。


「蓮ってさ」

「ん?」

「昔から、こんなに優しかったっけ?」


何気なく聞いたつもりだった。

けれど、蓮は少しだけ黙った。


「……今さら?」

「え?」

「ずっとこんな感じだったと思うけど」


そう言われて、私は考える。

確かにそうかもしれない。

転んだときは助けてくれたし、忘れ物をしたときは届けてくれた。

私が困っていると、いつも気づいてくれた。

昔から変わらない。

なのに。

最近になって、それが妙に嬉しく感じる。

隣を歩くことも。

名前を呼ばれることも。

何気なく向けられる笑顔も。

全部、少しだけ特別に思えてしまう。


「……そっか」


それ以上は言わずに、私は前を向いた。

理由はまだ分からない。

ただ、蓮のことが気になる。

もっと知りたいと思う。

そして、できるなら。

明日も一緒に帰りたい。

そんな気持ちだけが、少しずつ大きくなっていた。
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