幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
 学校に着くと、昇降口には生徒がたくさんいた。


「じゃあ、俺こっち」

「うん」


 蓮は男子の靴箱のほうへ向かう。


「蓮!」

「ん?」

「放課後、待っててね」

「分かってる」

「忘れないでよ?」

「忘れない」

「絶対?」

「絶対」


 そう言って、蓮は教室へ向かっていった。

 私はその背中を見送る。

 そして、自分でも不思議に思った。

 どうして、こんなに嬉しいんだろう。


「結菜、おはよー!」


 友達の声に振り返る。


「おはよ」

「……あれ?」

「何?」

「今日、蓮と来た?」

「うん」

「やっぱり!」


 友達は嬉しそうに笑う。


「何?」

「別にー」

「その顔やめてよ」

「だって、結菜が自分から蓮のこと話すようになったから」

「え?」

「前は『幼なじみだから』しか言わなかったじゃん」

「今も幼なじみだよ」

「うん。でも最近、蓮の話するときちょっと違う」

「どう違うの?」

「嬉しそう」

「……そうかな」

「そうだよ」


 私は返事に困って、鞄を机の横に置いた。

 嬉しそう。

 そんなふうに見えてるんだ。

 私は少しだけ考える。

 たしかに、蓮と一緒にいると楽しい。

 でも、それは昔から。

 だから、特別なことじゃない。

 ……そう思いたかった。
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