幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


一時間目が始まっても、私はいつもより機嫌がよかった。

友達にもすぐに気づかれた。


「結菜、今日なんか嬉しそう」

「そう?」

「うん。朝からずっと」


私は慌てて頬に手を当てる。

自分ではそんなつもりはなかった。


「朝、蓮と会ったからじゃない?」

「……なんで分かるの?」

「分かりやすいから」


そう言って笑われる。

私は何も返せなくなって、ノートに視線を落とした。

蓮と会えたから。

それだけで嬉しい。

そのことを認めるのが、少しだけ恥ずかしかった。

別に好きとか、そういう意味じゃない。

幼なじみなんだから。

毎日会っているんだから。

そう思えば、納得できる気がした。

でも。

今までだって、蓮と会う日はたくさんあった。

それなのに、最近は少し違う。

朝、姿を見つけるだけで嬉しくなる。

名前を呼ばれるだけで、気持ちが明るくなる。

帰り道の約束ひとつで、一日が楽しみになる。

私はその理由を考えようとして――やめた。

今はまだ、分からなくてもいい気がした。
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