幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
ふたりだけの帰り道
放課後。
教室を出ると、廊下にはまだ帰る生徒たちの声が残っていた。
私は鞄を肩にかけながら、少し先を歩いている蓮の背中を追いかける。
「蓮、待って」
呼ぶと、蓮が足を止めた。
「ん?」
「一緒に帰るんでしょ?」
「うん」
当たり前みたいに返されて、私は隣に並んだ。
校門を出ると、さっきまで聞こえていた周りの声が少しずつ遠くなる。
住宅街に入る頃には、歩いているのは私たちだけになっていた。
二人きりの帰り道。
昔から何度も歩いてきた道なのに、今日は少しだけ違って感じる。
「今日、授業長かったね」
「結菜、途中眠そうだった」
「見てたの?」
「見てた」
「恥ずかしいんだけど……」
思わず顔をしかめると、蓮が小さく笑った。
その笑顔を見て、私もつられて笑う。
こうやって話しながら歩く時間が、最近は好きになっていた。
家に着くまでのほんの少しの時間。
それが、今日はいつもより長く続けばいいのにと思ってしまう。