幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


放課後。

今日は教室で少しだけ話してから帰ることになった。

窓の外は、夕方の光でオレンジ色に染まっている。

私は机の上を片付けながら、今日あったことを話していた。


「今日の体育、疲れたー」

「結菜、途中から動き遅かった」

「蓮だって遅かったじゃん」

「俺はちゃんと動いてた」

「嘘」


くだらない話をして笑う。

こういう時間は昔から変わらない。

一緒にいると、無理に何かを話さなくてもいい。

黙っていても気まずくない。

それが、私は好きだった。

鞄を持って立ち上がろうとしたとき。

机の横に置いていた筆箱が床に落ちた。


「あっ」


拾おうとしゃがむ。

同じタイミングで蓮も手を伸ばした。

指先が、ほんの一瞬触れた。


「……」

「……」


二人とも動きを止める。


「ごめん」


先に蓮が筆箱を拾った。


「はい」

「ありがと」


受け取るとき、また指が少しだけ触れた。

今度はほんの一瞬。

それなのに、心臓が大きく鳴った。

私は慌てて筆箱を鞄にしまった。

顔を上げられない。


「結菜?」

「な、なに?」

「顔赤い」

「暑いだけ!」


自分でも苦しい言い訳だと思った。

蓮は少し不思議そうにしながらも、それ以上は何も言わなかった。
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