幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


教室を出て、階段を下りる。

さっきのことを忘れようとしても、なかなか頭から離れてくれない。

指先が触れただけ。

本当に、それだけなのに。


「……なんで」


小さく呟く。


「何が?」


隣から蓮の声がして、私はびくっとした。


「なんでもない!」

「そう?」

「うん」


蓮はそれ以上聞かず、私の隣を歩く。

階段を下りきったところで、後ろから何人かの生徒が走ってきた。

私は端に寄ろうとしたけれど、その前に蓮が私の腕を軽く引いた。


「こっち」


気づけば、また距離が近くなっていた。


「危ないから」

「……うん」


人が通り過ぎるまで、そのまま並んでいる。

腕が触れそうなくらい近い。

私は何も言えなくなった。

昔から何度もこうして守ってもらってきた。

今までなら、ありがとうで終わっていた。

なのに今日は。

近い。

ただ、それだけのことが頭から離れなかった。

人がいなくなっても、私はすぐには離れられなかった。

蓮が先に歩き出して、ようやく私も後を追う。

自分の頬が熱い気がした。
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