幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
 家の近くまで来ても、私はまだ落ち着かなかった。


「じゃあ、また明日」

「うん」


 蓮が手を振る。


「……蓮」

「ん?」

「今日のお菓子、ありがと」

「どういたしまして」

「おいしかったら、また教えるね」

「うん」

「じゃあね」

「また明日」


 蓮が歩いていく。

 私はその背中を見送る。

 そして、胸の前で手をぎゅっと握った。

 今日も楽しかった。

 朝からずっと、蓮のことばかり考えていた気がする。

 昨日会えなかっただけで寂しくて。

 今日会えたら嬉しくて。

 好きなお菓子を覚えていてくれたことが嬉しくて。

 かわいいと言われたことが、ずっと頭から離れなくて。


「……なんで?」


 私は小さく呟いた。

 今までだって、蓮は優しかった。

 今までだって、一緒に帰っていた。

 今までだって、私のことを気にかけてくれていた。

 なのに。

 最近は、その一つ一つが特別に感じる。


「……私、どうしちゃったんだろ」


 家に着いても、答えは出なかった。

 ただ。

 明日も蓮に会いたい。

 明日も一緒に帰りたい。

 そう思っている自分だけは、もう誤魔化せなくなっていた。
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