幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
家までの道を歩きながら、私は何度も今日のことを思い返していた。
朝の袖。
昼休みの名前。
放課後の指先。
階段で近くなった距離。
どれも、今までなら気にしなかったことばかり。
それなのに、最近はひとつひとつが気になってしまう。
蓮が隣にいる。
それだけで嬉しい。
近くにいると、少し落ち着かなくなる。
でも、離れると寂しくなる。
矛盾している。
「……変なの」
「何が?」
また聞かれて、私は慌てて首を振った。
「なんでもないってば」
蓮は少し笑って、前を向いた。
しばらく歩いてから、ふと隣を見る。
夕方の光の中で、蓮の横顔がいつもより大人っぽく見えた。
昔から知っている顔。
ずっと見てきた顔。
なのに。
最近は、知らない表情を見つけるたびに気になってしまう。
私はそっと前を向いた。
まだ、その理由は分からない。
ただひとつ分かったことがある。
蓮との距離が近くなると、どうしても胸が騒がしくなる。
それが少しだけ嬉しくて。
少しだけ、困っていた。