幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


家までの道を歩きながら、私は何度も今日のことを思い返していた。

朝の袖。

昼休みの名前。

放課後の指先。

階段で近くなった距離。

どれも、今までなら気にしなかったことばかり。

それなのに、最近はひとつひとつが気になってしまう。

蓮が隣にいる。

それだけで嬉しい。

近くにいると、少し落ち着かなくなる。

でも、離れると寂しくなる。

矛盾している。


「……変なの」

「何が?」


また聞かれて、私は慌てて首を振った。


「なんでもないってば」


蓮は少し笑って、前を向いた。

しばらく歩いてから、ふと隣を見る。

夕方の光の中で、蓮の横顔がいつもより大人っぽく見えた。

昔から知っている顔。

ずっと見てきた顔。

なのに。

最近は、知らない表情を見つけるたびに気になってしまう。

私はそっと前を向いた。

まだ、その理由は分からない。

ただひとつ分かったことがある。

蓮との距離が近くなると、どうしても胸が騒がしくなる。

それが少しだけ嬉しくて。

少しだけ、困っていた。
< 30 / 177 >

この作品をシェア

pagetop