幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
 学校を出て、ひとりで歩く。

 いつも蓮と話していることを思い出す。

 今日あったこと。

 授業のこと。

 くだらない話。

 コンビニに寄るかどうか。

 そんな何気ない会話。

 いつもは当たり前すぎて、何も考えていなかった。

 でも。

 ひとりで歩いていると、その一つ一つが思ったより大きく感じた。


「……蓮、今何してるんだろ」


 口にしてから、私は足を止めた。


「……私、何考えてるんだろ」


 スマホを取り出す。

 連絡しようかな。

 でも。

 何て送ればいい?

『今何してる?』

 それだけでもいいはずなのに。

 なぜか送れない。

 画面を閉じる。


「……別に、連絡しなくてもいいし」


 自分に言い聞かせるように呟く。

 家に帰ってからも、なんとなく落ち着かなかった。

 夕飯を食べて。

 お風呂に入って。

 宿題をして。

 ベッドに入る。

 いつもなら、今日のことを蓮に話したりする。

 でも今日は、それがない。

 スマホを見る。

 通知はない。


「……」


 私はスマホを伏せた。

 その瞬間。

 画面が光った。


「……!」


 慌てて手に取る。

 蓮からだった。

『もう帰った?』

 たった一行。

 それだけなのに。

 さっきまで少し重かった胸が、一気に軽くなった。
< 35 / 48 >

この作品をシェア

pagetop