幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
放課後。
約束通り、蓮が教室まで迎えに来た。
「結菜、帰ろ」
「うん」
鞄を持って立ち上がる。
二人で廊下を歩きながら、今日の授業の話をする。
「数学の宿題、難しくなかった?」
「ちょっと難しかった」
「結菜、途中で止まってたじゃん」
「見てたの?」
「見てた」
「もう……」
笑いながら階段を下りる。
校門を出ると、夕方の風が少し冷たかった。
私は制服の袖を握りながら歩く。
「寒い?」
「ちょっとだけ」
すると蓮が歩く速度を落とした。
「じゃあ、ゆっくり帰ろ」
「え?」
「急がなくていいし」
私は小さく頷いた。
こういうところも、蓮らしい。
何か大きなことをしてくれるわけじゃない。
でも、私が困っていると自然に気づいてくれる。
そのたびに、嬉しくなる。
「蓮」
「ん?」
今度は私から名前を呼んだ。
呼び返されるのを待つみたいに、少しだけ蓮を見る。
「……呼んでみただけ」
「何それ」
蓮が笑う。
その笑顔を見て、私も笑った。
自分から名前を呼ぶのも、最近は少し楽しくなっていた。