幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い

帰り道の途中。

ふと、昔のことを思い出した。

小学生の頃。

私が転んで泣いたときも、蓮は何度も名前を呼んでくれた。

中学生の頃。

テストで落ち込んでいたときも、隣に座って名前を呼んでくれた。

いつも。

私の名前を呼ぶのは、蓮だった。


「……昔から、蓮って私の名前いっぱい呼ぶよね」


何気なく言うと、蓮が少し考えるような顔をした。


「そう?」

「うん」

「結菜だからじゃない?」

「それ、理由になってないよ」


思わず笑う。

でも、蓮はそれ以上何も言わなかった。

しばらく二人で歩く。

夕方の道に、靴音だけが響いていた。


「結菜」

「ん?」


また呼ばれた。


「……なんでもない」

「なにそれ」


振り返ると、蓮が少しだけ笑っていた。

私はその顔を見て、胸がぎゅっとなる。

名前を呼ばれただけ。

それなのに。

こんなに嬉しい。

昔から同じ声。

同じ名前。

同じ蓮なのに。

私の中だけが、少しずつ変わっているような気がした。
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