幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
授業が始まっても、なんとなく落ち着かなかった。
別に、蓮がいないわけじゃない。
同じ教室にいるし、休み時間になれば話すことだってできる。
それなのに。
「今日、一緒に帰れないんだ……」
ふと、朝の会話を思い出してしまう。
いつもなら放課後になれば、自然と蓮が私のところへ来る。
それから一緒に教室を出て、くだらない話をしながら歩く。
コンビニに寄ったり、宿題の話をしたり。
何か特別なことをしているわけじゃない。
ただ一緒に帰っているだけ。
でも、その「だけ」がないと思うと、思っていたより寂しかった。
昼休み。
蓮が私の机の横に来た。
「結菜」
「ん?」
「今日、帰り先に帰ってて」
「うん、分かってるよ」
朝も聞いたのに、わざわざもう一度言ってくれた。
「ごめん」
「なんで蓮が謝るの?」
「……一緒に帰れないから」
その言葉を聞いた瞬間、胸が少しだけ跳ねた。
「別に大丈夫だよ」
そう答えたけれど。
蓮が離れていったあとも、なぜかその言葉が頭に残っていた。