幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い


放課後。

いつもなら、帰る準備をする時間。

鞄に教科書を入れて、机の中を確認して。

それから、蓮が来るのを待つ。

でも今日は、来ない。

分かっていることなのに、教室のドアが開くたびに、つい顔を上げてしまう。

そのたびに違う人だと分かって、少しだけ肩の力が抜ける。


「……何やってるんだろ、私」


自分でもおかしくなって、小さく笑った。

蓮は来ない。

今日は一緒に帰れない。

だから、先に帰ればいいだけなのに。

いつもの帰り道を、一人で歩いてみる。

隣にいるはずの蓮がいないだけで、道が少し広く感じた。

信号を渡って、いつもの角を曲がる。

いつもなら、この辺りで蓮が何か話し始める。

昨日のゲームの話だったり、授業のことだったり。

くだらない話ばかりなのに。


「……静かだな」


思わず、そう呟いた。

家に着いてからも、なんとなくスマホが気になった。

しばらくして。

画面が光る。

蓮からのメッセージだった。


『今日、一緒に帰れなくてごめん』


それを見た瞬間。

さっきまで少し重かった気持ちが、ほんの少し軽くなった。
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