幼なじみの蓮くんが、最近なんか甘い
 昼休み。

 私は友達と一緒に廊下へ出て、お弁当を食べる場所を探していた。


「あ、結菜」


 後ろから聞き慣れた声がした。

 振り返ると、蓮が立っていた。


「どうしたの?」

「これ」

 蓮が私の手の上に何かを置く。


「……なに?」

「昨日、忘れてた」

「あ」


 それは昨日、数学の授業で使ったシャーペンだった。


「私の?」

「そう」

「ありがとう!」


 私はシャーペンを受け取る。


「昨日の帰り、鞄に入れたと思ってた」

「入ってなかった」

「蓮の鞄に入ってたの?」

「俺が拾った」

「そっか」


 私は何気なくシャーペンを眺める。

 昨日、数学の小テストで使ったものだ。


「じゃあ、蓮またね」

「……ん」


 蓮が教室へ戻ろうとする。

 その背中を見ながら、私はふと気づいた。


「ねえ、蓮!」

「なに」

「わざわざ届けに来てくれたの?」

「……そうだけど」

「ありがとう」

「別に」


 そう言って、蓮は教室へ戻っていった。


「……やっぱり優しいよね」


 私が呟くと、隣にいた友達がすぐに反応した。


「でしょ?」

「でも昔からだよ」

「そうかなあ」

「そうだよ」


 私は笑って答えた。

 蓮は昔からこういう人だ。

 私が忘れ物をすれば教えてくれるし、困っていれば助けてくれる。

 だから、特別なことだなんて思ったことはなかった。

 ……今までは。
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