幼なじみからの溺愛が止まりません!
三時間目のあとの休み時間。
私は友達に頼まれて、隣のクラスまでプリントを届けに行った。

すぐ戻るつもりだったのに、廊下で同じ学年の男子に呼び止められる。

「小春さんって、橘と幼なじみなんだよね」

「うん、そうだよ?」

「やっぱ仲いいよな。小春さん、やさしいし可愛いし、ちょっと話してみたかったんだ」

不意打ちの言葉に、私は困って曖昧に笑った。
そのときだった。

「みお」

聞き慣れた声がして、肩がびくっと揺れる。

斗真がこちらに歩いてくる。
しかも、いつもみたいな余裕のある笑顔じゃない。

「先生、プリント早く持ってこいって」

「あ、ごめん。今戻る」

そう言って動こうとした瞬間、斗真が私の手首を軽くつかんだ。

「行こ」

短いその一言に、有無を言わせない空気がにじむ。
私はそのまま斗真に引かれて教室まで戻った。

人気のない階段の踊り場まで来たところで、斗真がぴたりと足を止めた。

「斗真?」

「……ああいうの、困る」

低い声だった。

「え?」

「他のやつに笑いかけるの」

思わず目を瞬く。
斗真は少しだけ視線をそらして、でもすぐに私を見た。

「みおは悪くない。わかってる。でも、余裕なくなる」

その表情が、昨日告白してくれたときと少し似ていて、胸がきゅっとなる。
< 4 / 9 >

この作品をシェア

pagetop