マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「友人が電話くらいした方が良い、って……それで、時間を割いてもらって……」
「友達が、か」

理由を伝えると、彼の声が少し寂しそうに聞こえた気がした。

「初花さんから話したいのかなって思ったんだけど。そうじゃないなら残念だ」
「っ、わ、私も……ですっ。あのっ、友達から、これほどやりとりをしても電話もしてなくて、会う約束もしてないってなると、その……いつか、突然連絡が取れなくなるかもって……だからっ」

きっと、心にポッカリと穴が空いたような寂しい気持ちになってしまう。
そう思って必死に言葉を続ければ、またくすりと笑う声が聞こえた。

「冗談。そんな真面目に捉えなくて大丈夫だから」
「あっ……す、すみません……」
「また謝る。どちらかと言うと、揶揄った俺の方が悪い気がするんだけど」
「い、いえ、その……そ……そ……」

文字で打つなら、SOMAと簡単に入力できる。
しかし、実際に名前を呼ぼうとすれば緊張してしまう。
そもそも、そうま、とは苗字なのか名前なのか。
発音だって違う。
それで戸惑ってしまい、口をもごもごと動かして誤魔化してしまう。

「良いよ、慣れてからで。んー、会う約束、かぁ」

耽ってるように言う彼に、慌てる。
私なんかと出かけたいなんて、思うわけがない。
そんな気持ちで言葉を放とうとしたけれど、先に続けたのは彼だった。
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