マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「じゃあ、会ってみる?」
「へっ……!?」
まさかの言葉に声がひっくり返った。
「嫌だった?」
「い、いやっ。嫌、というか……その、良いんですか……? その、私……こんな感じ、ですし」
「今のところ、初花さんには良い印象しかないけど?」
「なっ……!」
耳に直接届く言葉に、体が熱くなる。
「初花さんは動物が好きなら……朝日公園の近くに猫カフェがあるのは知ってる?」
「っ、はい……! 知ってます」
その猫カフェは最近できたばかりで、近くに似たような店がないため、人気の高い場所。
結衣は猫アレルギーなため、一緒に行ける人がいなくて、いつも外から中の様子が伺えないかと、店の前を歩く時はゆっくりとした足取りになっていた。
「じゃあ、そこはどう? 普通に飯食うより、初花さんも居心地が良いかなって」
動物が好きということを覚えていてくれて、気遣ってくれる彼にますます意識が向く。
「待ち合わせ場所だけど、公園でいいかな? 駐車場あるみたいだけど、さすがに会ったことない俺と車で二人は嫌でしょ?」
「う……」
素直に『はい』とは言えない。
初対面の男性と密室で二人きりになんて、私のように男性に慣れていなくたって、嫌な人は多いだろう。