落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。

第四章

並んで歩く帰り道。
 会話は多くないのに、不思議と気まずくはなかった。

「ねえ、蓮くん」

「なんだ」

「明日も、もっとみんなのこと見つけたい」

「……ああ」

「絶対、すごいクラスにしようね」

「する」

 短い返事。
 だけど、その声は誰より頼もしかった。

 そのとき、小春のスマホが小さく震えた。
 画面を見ると、知らない番号からのメッセージがひとつ届いている。

 開いた瞬間、小春は足を止めた。

『君の演技、少し危ういね』

「……え」

 続けて、もう一通。

『気をつけたほうがいい。本番前に壊れるよ』

 送り主の名前は表示されていない。
 でも、その文面を見た瞬間、昼間のあの笑みが頭に浮かんだ。

 一ノ瀬カイ。

「どうした」

 隣で蓮の声がする。
 小春は画面を見つめたまま、小さく息をのんだ。

 楽しいだけじゃ終わらない。
 たぶん、この舞台にはもっと大きな波が来る。

 けれど。

 それでも負けたくないと、そう思った。
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