落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。
一瞬、白峰くんが黙る。

 その目が、少しだけ揺れた。

 でも次の瞬間。

「……そういうの、簡単に言わないで」

 空気を切り裂くような女子の声が響いた。

 全員の視線がそちらへ向く。

 舞台袖の近くに立っていたのは、長い黒髪を高い位置で結んだ少女だった。目元はきつめで、姿勢がよくて、いかにも気が強そうな雰囲気がある。

 黒宮レイナ。

 昨日はほとんど発言していなかったけれど、その存在感は最初から目立っていた。

「黒宮さん」

 小春が名前を呼ぶと、レイナは冷えた目で見返してくる。

「輝かせるとか、大丈夫とか、そんなの無責任」

「え……」

「昨日から聞いてれば、ずいぶん大きなことばっかり言ってるよね」

 劇場の空気が一気に張りつめた。

 誰も口をはさめない。

 レイナは一歩前に出る。
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