落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。
第六章
その日の稽古は、昨日までとは比べものにならないくらい熱を帯びていた。
白峰奏斗はまだぎこちなさを残しながらも、昨日よりずっと前を向いている。
黒宮レイナのダンスが入るだけで、舞台全体の空気が締まる。
桃園えるは舞台袖で衣装案のラフを広げながら、ぶつぶつと楽しそうに色の組み合わせを考えていた。
少しずつ。
でも確実に、C組の舞台は形になり始めている。
「そこ、もう一度」
桜井蓮の声が劇場に響く。
「白峰、せりふのあと一拍置け」
「一拍?」
「感情を飲みこむ間だ。流すな」
「……わかった」
白峰くんがうなずく。
小春は少し離れた位置から、そのやりとりを見ていた。
蓮くん、やっぱりすごい。
必要なことだけを、ちゃんと相手に届く形で言う。厳しいけれど、切り捨てる冷たさじゃない。
「白雪」
「うん?」
「次、おまえ入れ」
「はい!」
小春は台本を持って舞台中央へ向かう。
白峰くんの前に立つと、彼はまだ少しだけ緊張した顔をしていた。
「大丈夫?」
「白雪さんが言うと、大丈夫な気がしてくるのずるい」
「えへへ」
「そこで笑うのもずるい」
そんな軽口を交わした直後だった。
劇場の扉が、がちゃりと開く。
全員の視線がそちらへ向く。
「へえ」
聞き覚えのある、どこか余裕を含んだ声。
白峰奏斗はまだぎこちなさを残しながらも、昨日よりずっと前を向いている。
黒宮レイナのダンスが入るだけで、舞台全体の空気が締まる。
桃園えるは舞台袖で衣装案のラフを広げながら、ぶつぶつと楽しそうに色の組み合わせを考えていた。
少しずつ。
でも確実に、C組の舞台は形になり始めている。
「そこ、もう一度」
桜井蓮の声が劇場に響く。
「白峰、せりふのあと一拍置け」
「一拍?」
「感情を飲みこむ間だ。流すな」
「……わかった」
白峰くんがうなずく。
小春は少し離れた位置から、そのやりとりを見ていた。
蓮くん、やっぱりすごい。
必要なことだけを、ちゃんと相手に届く形で言う。厳しいけれど、切り捨てる冷たさじゃない。
「白雪」
「うん?」
「次、おまえ入れ」
「はい!」
小春は台本を持って舞台中央へ向かう。
白峰くんの前に立つと、彼はまだ少しだけ緊張した顔をしていた。
「大丈夫?」
「白雪さんが言うと、大丈夫な気がしてくるのずるい」
「えへへ」
「そこで笑うのもずるい」
そんな軽口を交わした直後だった。
劇場の扉が、がちゃりと開く。
全員の視線がそちらへ向く。
「へえ」
聞き覚えのある、どこか余裕を含んだ声。