落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。

第七章

劇場の扉が閉まって、最後の足音が遠ざかっていく。

 広い舞台に残ったのは、小春と蓮だけだった。

 さっきまで誰かの気配で満ちていた空間が、急に広く、静かに感じる。

 小春は台本を胸の前で抱えたまま、そっと蓮を見た。

 蓮は舞台の下から小春を見上げていた。
 いつもみたいに静かな顔。けれど、目だけが少しこわいくらいまっすぐだ。

「……蓮くん」

「どういうつもりだ」

 低い声が、静かな劇場に落ちる。

 小春は思わず背筋を伸ばした。

「どういうって」

「わかってるだろ」

 蓮は一段ずつ舞台へ上がってくる。

 その足音がやけに大きく聞こえるのは、たぶん自分が緊張しているせいだ。
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