落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。
「どうしよう、青春すぎる!」

「どうしようじゃない」

 蓮がこめかみを押さえる。

「おまえら、全員今すぐ帰れ」

「はーい!」

 返事だけはよく、えるたちはばたばたと逃げていく。

 去り際、えるだけが振り返って小さく叫んだ。

「小春ちゃん、返事は焦らなくていいけど絶対大事にしてねー!」

「~~っ!」

 もう顔から火が出そうだ。

 静けさが戻った舞台で、小春はしばらく立ち尽くしたまま動けなかった。

 そんな小春を見て、蓮が深くため息をつく。

「……最悪だ」

「ご、ごめん」

「おまえが謝ることじゃない」

「でも」

「でもじゃない」

 そう言いながらも、蓮の顔も少し赤い。

 そのことに気づいてしまって、小春は思わずふっと笑った。

「なんだ」

「蓮くんも、照れてる」

「うるさい」

「ふふ」

 笑うと、さっきまでの緊張が少しだけほどける。

 でも胸の奥には、まだあたたかい熱が残っていた。

 好き。

 その言葉は、たった一言なのに、世界を少し変えてしまう。

 きっと明日から、今までと同じではいられない。

 それでも。

 悪くないどころか、むしろ少し楽しみだと思ってしまう自分がいた。
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